大学が受験生に求める力 東大総長が受験生に対して求めているものは何か
元東京大学総長である、五神真総長が表に出した意見から、いくつか読み取れることを考えてみる。
五神総長就任記者会見
学生に身につけてほしい4つの力
〇原理に立ち戻り自分の頭で考える力
〇困難に直面しても諦めないで考え続ける忍耐力
〇自ら新しい発想を出す創発的な力
〇自らを相対化できる広い視野
これらの力を、東京大学のキャンパスでつけてほしいというのは、文字に表れている通りである。しかし、だからといって駒場・本郷だけでこれを身に付けるというわけではない。これの基礎となるような力は高校で身に付けておかねばならないことは言うまでもないのである。
高大接続システム改革についての意見(平成 28 年 2 月 17 日) 一部抜粋
(前略)
東京大学における取り組み
東京大学は、 「自ら主体的に学び、各分野で創造的役割を果たす人間へと成長していこうとする意志を持った学生」を求め、入学試験においては「知識を詰めこむことよりも、持っている知識を関連づけて解を導く能力の高さを重視し」(東京大学アドミッションポリシー)、文科・理科ともに4教科・2日間にわたる記述式試験を長年にわたり実施してきた。本学では、入試問題は日本の高等学校、高校生全体に対する最も重要なメッセージと位置づけ、毎年、教員の総力を結集して作問と採点に当たってきた。記述式の出題によって、断片的な知識や表面的な技能ではなく、思考力・判断力・表現力を多面的に評価することが可能であることを確認している。またこれに応えるための受験生の努力が、論理的な思考力と文章表現力を鍛えることに役立っていることは確かである。長年実施してきた経験から、記述式試験は、大学と受験生との出題、解答、採点を通じた「対話」であるということを強調したい。
(以下略)
高大接続システム改革についての意見(平成 28 年 2 月 17 日) 全文(PDF)
参照:高大接続システム改革会議(第11回) 配付資料 (文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/033/shiryo/1367231.htm
この文章は、詳しく分析しておきたい。
▷東京大学は、 「自ら主体的に学び、各分野で創造的役割を果たす人間へと成長していこうとする意志を持った学生」を求め、入学試験においては「知識を詰めこむことよりも、持っている知識を関連づけて解を導く能力の高さを重視し」(東京大学アドミッションポリシー)、
アドミッションポリシーからの引用。東大の好きな比較構文。ここで注意しておきたいのは、知識を詰め込むこと『ではなく』と言っているわけではないことだ。当然のことながら、知識も必要のである。(河合塾英語科 玉置全人の講義での発言は、ココの部分を言っていたのだ。)
▷文科・理科ともに4教科・2日間にわたる記述式試験を長年にわたり実施してきた。
『長年にわたり実施してきた』のである。長い年月の積み重ねの中で、記述式試験を、2日にわたって実施する体制が確立してきたのである。
▷本学では、入試問題は日本の高等学校、高校生全体に対する最も重要なメッセージと位置づけ、毎年、教員の総力を結集して作問と採点に当たってきた。記述式の出題によって、断片的な知識や表面的な技能ではなく、思考力・判断力・表現力を多面的に評価することが可能であることを確認している。またこれに応えるための受験生の努力が、論理的な思考力と文章表現力を鍛えることに役立っていることは確かである。
記述式の出題により、論理的な思考力が試されているのはわかるだろう。記述式試験についていえば、1A要約でも、2AB英作文でも、4B解釈でも、5小説等でも、それぞれ思考力・判断力・表現力の全てが要求される。
▷長年実施してきた経験から、記述式試験は、大学と受験生との出題、解答、採点を通じた「対話」であるということを強調したい。
予備校などでは、常に言われていることだろう。予備校などで講義を受ければ常に言われることである。少し個人的な意見だが、現代の受験業界では、予備校講師より高校の先生のほうがよっぽど「予備校テクニック」たるものに依存していると考えるのは、私だけだろうか?
(以下略)
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