2023年度 大学入試共通テスト 数学ⅠA分析速報
2023/01/14〜1/15に、大学入試共通テストが行われています。例年通り、僕も受験生指導の立場として共通テストの問題を分析します。
ここでは大学入試共通テストの分析を速報します。
問題を解きながら記事を更新しています。最初に記事を執筆している14:45現在、まだ公式には問題を入手していません。随時更新します。現時点では一部、誤った情報が含まれる可能性があります。
全体では計算量が減少し、受験生の感覚としては「易化」と思われる
今年度の数学ⅠAの問題は、大幅に易化しました。昨年は問題もややこしく、整数問題など計算量も多かったため苦労した受験生が非常に多くいた。
22年度 | 21年度 | 20年度 | 19年度 | 18年度 |
38.0 | 57.7 | 51.9 | 59.7 | 61.9 |
昨年は平均点が37.96点という、まさに受験生にとっては悪夢であった。
平均点が38点は、全国のほとんどの大学が使用する名実ともに『共通』テストとして機能しているかが疑問でもあった。問題の質こそ高いものの、問題の分量が極めて多かったことも特徴的な点であった。
「令和4年度 問題評価・分析委員会報告書(本試験)」でも「今後の試験では時間配分の面を十分に考慮されることを要望する。」と、教育研究団体(数学においては公益社団法人 日本数学教育学会)の意見・評価にあったように、本年度は分量を調整したようである。なお、大学入試センターの自己評価においても、分量について次年度から検討をするとのコメントがなされていた。
昨年と比べて計算量についても調整が行われ、受験生にとっては比較的取り組みやすいものになったと考えられる。
トピック
全体としては大幅に易化したと考えられる。
第2問の問題配置が、昨年までは〔1〕で二次関数、〔2〕でデータの分析であったのが、〔1〕でデータの分析、〔2〕で二次関数と順番が反転した。2年前、数学Bにおいて確率統計が第3問に配置された際は学習指導要領にのっとったモノであったが、数学Ⅰの学習指導要領においては二次関数が前にある。この順序が入れ替わった理由は今のとろこ不明である。
日常生活を題材としつつ国語力が重要
第2問の二次関数の問題では、バスケットボールを題材とした問題が出題された。日常生活での数学的思考の活用という、なかなか見たことない設定に加え、数学的な問題設定のために長い日本語の文章が書かれており、時間制限が厳しい共通テストの数学において落ち着いて理解することができない受験生が出ることは想像に難くない。
二次関数の曲線を「放物線」と呼ぶ理由の元ともなった「モノを投げる」ことを題材として考えている。普段からの数学的興味が活かされやすい問題であると言えるだろう。
来年度以降の受験生へ
昨年度は計算の分量が非常に多く、有識者からも計算量に関して疑問の声が投げかけられてた。今年度はその反省を活かし、分量はやや減った。今年度の分量が続く保証はないが、この程度の分量が来年度以降も継続する可能性は高いと考えられる。
だからといって計算力よりじっくり考える力が重視されるかと言われるとそうでもなく、引き続き計算力が求められることに変わりはない。計算力は数学力において根底にある力である。計算力は短期間では身に付かないので、常日頃から意識したい。
大学入試センター試験から大学入試共通テストに代わり、日常を題材にした問題が増えた。今年度の問題ではバスケットボールを題材にした、まさに二次関数を「放物線」と呼ぶ所以となった題材が出題された。教科書に「放物線」と書いてある、なぜそう呼ぶのだろう、と少し考えたことがある受験生にとっては特に有利だったであろう。
日常生活において、物事を数学的に捉えることに加え、ただただ暗記するのではなく本質的な理解が求められた。共通テスト対策の問題集で演習を積み、付け焼き刃的な対策をするのではなく、普段から「少しだけ深く考えること」が要求されている。
現代はインターネットなどが普及し、そういった情報はより容易に手に入れることができるようになっている。普段から「少しだけ深く考える」ことで、柔軟な思考力と単なる「暗記」ではない、背景知識をつけておくことも役に立つだろう。
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