この時期にある受験生の疑問とそれに対する回答
以下でご紹介するのは、実際に僕自身が講義を担当している高校3年生(受験生)からあった質問とそれに対する回答の1例です。これらを元に、実際には口で補足してお答えするので、文字で書かれたものは十分とは言い難いです。
忘れているところを効率よく探せない
確かに、同じような苦労をしました。というか、現在進行形で僕も苦労しています。大学の勉強で、分かってないことは分かるんですが、どこが分からないかが分からない。
最も効率がいい方法と僕が思うのが演習をすることです。演習は、問題に慣れるというよりは「問題を解くことで自分の頭を使う、だから理解が促進される」ものです。どこが忘れているか分からないのであれば、教科書や参考書、ノートなどを横に置いて問題を解いても構いません。5分考えて分からないのであれば、解説をみても構いません。その代わり、解けなかったものについては僕が常々言っている、
- どうして解けなかったのか
- どのようにしたら解けるようになるのか
- この問題から何を学んだのか
をしっかり分析し、言語化(1〜2行程度でノートに書き留める)ことをしてください。一通り問題集を解き終えた後にそれを見直すと、おそらく少しづつ共通点が見えてくると思います。
また、どこを忘れているのかを確認するための最も理想的な方法は「教科書の通読」だと思います。ただし、あくまで「理想」であって、よほど集中力がある人でなければなかなか実践しにくいということを先に書いておきます。
おそらく1通り学習したところであれば、集中的にやれば5時間くらいで教科書を読破できると思います。「教科書を読んで理解する」のではなく、「教科書を読んで、忘れてたところをピックアップする」という姿勢で読破してみるという姿勢です。それを元に、不足している部分の演習を積んでいきましょう。
1ヶ月後に公募推薦入試があるのだが、「90分で3科目」の学力調査があって過去問がなく対策に困っている。
学校の先生や塾の教務に相談してみてください。場合によっては、先輩の体験談を知っている先生がいるかもしれません。もし、何かしら聞き出すことができれば、それを参考にしてみてください。
何も情報が出てこなかった場合の対処法です。その場合は基本的な問題集をやっておきましょう。基本的な問題集というのは、
- 数学であれば教科書の例題
- 英語であればセンター試験時代の第1問・第2問
- 国語であれば学校の問題集や、それ相応の問題集
などが良いのではないでしょうか。
「学力調査」と銘打ち、90分で3科目というウェイトを考えると重たい問題が、言い換えれば入試問題のような問題が出るとは考えにくいです。ですから、数学であれば「基本的な数式の運用」(例えば、三角関数の合成計算とか、基本的な積分計算とか)、英語であれば「基本的な語彙力・文法理解」、国語であれば「現代文の漢字」「古文・助動詞の知識」「漢文の句形の知識」などです。こう言ったものを確実に抑える勉強をしましょう。
共通テスト数学の対策で、実戦的な形式で練習がこなせていない。ありったけの問題集を購入すべきなのか。
今の時期はそれで大丈夫です。
共通テストの数学は「思考力を要する問題」であり、「それ相応の対策が必要」なのは確かです。が、それは正直、1ヶ月前でも間に合います。今は基礎的な問題をきっちり解けるようにするときです。
実戦的な練習が足りないことはそのうち解決します。直前期になったら学校でいわゆる「パック」というものをやらされて、嫌でも演習をさせられる場合が多いです。それでも足りないのであれば直前期に予想問題集を購入すれば間に合います。
今は、仮に練習するのであればセンター試験時代の過去問で十分です。
全統模試が難しく感じた。時間が足りなかった。
全統模試は、偏差値70以上の人たちもきっちり差をつけようという前提で作問されているのでそう感じてもやむを得ません。それがまず、前提。
その上で、見直しをしてみてください。解けなかった問題を分析してみてください。分析した結果、「落ち着いてやれば解ける問題」だった場合は改善が必要です。どうして解けなかったのか、どのようにしたら解けるのかを分析してください。「落ち着いてやっても解けそうにないな」っていう問題の場合も同様に分析して、「捨て問題」にする基準等を明確にしていってください。
以上のことが時間制限の問題解決にも役立ちます。
また、時間制限についてもう少し述べておきます。時間制限についても自己分析すると良いでしょう。僕はセンター試験の模試を通して、例えば数学は「1問12分、エクストラタイム5分」が最も適切と判断しました。模試はせっかく時間制限の中で取り組むのですから、そういった分析もしてみてください。
模試やテストの直しに時間がかかりすぎて他のことに手が回りません。
直しの仕方を見直してみてはどうでしょう?
僕も1年生の頃はすべて解き直していましたが、途中からやめました。問題そのものをマスターするのであれば、問題集をやったほうがいいです。模試はあくまで模擬「試験」であり、全分野・必要な知識全てが網羅されている訳ではないからです。
同じことの繰り返しになりますが、解き直しはしなくて良いので、できなかった問題について
- どうして解けなかったのか
- どのようにしたら解けるのか
- この問題から何を学んだのか
を分析してみてください。しっかり言語化し、書き留めるなどすることが重要です。そうすることで、僕の場合は問題を解き直す以上の効果があるような復習が実現できました。
各教科バランスよく勉強したいのに、やり出したら数日間同じ科目をやってしまう。
別に良いのでは…?というのが正直なところです。
高校の勉強はそんなに簡単ではありません。つまみ食いでやってすぐにできるようになるものではありません。僕は「この1週間で数学の三角関数は絶対にすべて解けるようにする」と決め、1週間でフォーカスゴールド(チャートのような問題集)をすべて解き切ることから始めて、入試問題集の演習、そして過去問演習(地方国公立)、最後は過去問演習(東大京大レベルまで)とやっていました。
とはいえ、それは理想論のような部分もあるので「どうしても1日でこれとこれをやらなきゃいけない」ということがある場合についてもコメントしておきます。
「取捨選択」が重要です。うまくいかない受験生にありがちなのが「これをやる」「あとこれも」「あと、あれも」と、どんどん積み上げて考えていってしまう思考です。これではいくら時間があっても足りません。予備校の先生には「このをやるといい」という人がいます。予備校の先生たちは各科目のプロですから、それ自体はごくごく真っ当な意見です。
しかし、それをすべてこなす時間はありません。特に今の時期、共通テストまで2ヶ月しか残されていません。ので、「逆算的な思考」が必要です。ゴールから逆算して、やりたいことをできることの中に当てはめていく、そういうスタンスです。
自分の中で優先順位をつけ、「残された時間がこれだけしかない、だからこれをやる」「決めた時間までに終わらなければもうそれはやらない」という姿勢で取り組むことが重要だと思います。残された時間の中で最大限の成果を出す、それが自分の思うような成果出なくても、時間制限の中ではここまでだ、という思考で取り組むと良いと思います。
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