量子論の基礎 シュレーディンガー方程式と波動方程式とは?その違いは?
こんにちは。今回は、量子論の世界に入っていくためには欠かせないシュレーディンガー方程式について。シュレーディンガー方程式とは結局何なのかといった基本的なところから解説していきます。
シュレーディンガー方程式とは。波動方程式とは。
波動方程式とは、運動方程式の波バージョンです。運動方程式で加速度を使って運動の状態を解析したように、波動方程式では波動関数を使って波の状態を解析します。つまり、波動方程式を満たすのが波動関数というわけですね。
そしてシュレーディンガー方程式ですが、この波動関数をシュレーディンガーという人物が「こういう形ではないか」と提唱したのでこういう名前がついています。シュレーディンガー方程式と波動方程式の関係って最初僕もわかりませんでしたが、シュレーディンガー方程式=波動方程式と考えていいでしょう。
波動方程式はどんな形?
ズバリ、波動方程式(シュレーディンガー方程式)は次の式。
$$ \hat{H} \psi = E \psi $$
ここで、$$ \psi $$ が波動関数(wave fraction)。
Eは全エネルギー(運動エネルギー+位置エネルギー)で一定です。
また、$$\hat{H}$$はハミルトニアン(Hamiltonian)とよばれる演算子(operator)です。演算子とは、要するに後ろについた関数にある操作をせよ、という命令なのです。微分という命令を、関数の前にd/dxとつけて行うことがありますよね。これと同じと思えばいいでしょう。つまり、
$$ \frac{d}{dx} f$$
は、「fをxについて微分せよ」という命令。同じく今回の演算子もある操作をせよという命令。
ハミルトニアンの操作は?
これを波動方程式と同時に解説しているものって少ないんですね。波動方程式と同レベルで歩かってほしいというのが初学者の思いなのに・・・
ではさっそく結論を。ハミルトニアンは解析力学で登場するハミルトン関数に由来するもので、
$$ H=\frac{p^2}{2m}+U(x)$$
であらわされます。ここで、pは運動量でU(x)はポテンシャルエネルギーです。
さらにpを対応する演算子と置き換えると、
$$ \hat{H}=\frac{1}{2m}(-i \hbar \frac{\partial}{\partial x})^2+U(x)= \frac{ \hbar ^2}{2m}\frac{\partial^2}{\partial x^2}+U(x) $$
となります。
ここで、一つ目の式
$$ H=\frac{p^2}{2m}+U(x)$$
は覚えておきましょう。二つ目の式は、こういう置き換えができるんだなと覚えておく程度で十分です。
シュレーディンガー方程式の二通りの書き方
シュレーディンガー方程式には二通りの書き方がります。一つ目は上で紹介した
$$ \hat{H} \psi = E \psi・・・① $$
この方程式の特徴は、時間を含まないことです。定常状態のシュレーディンガー方程式とも呼ばれます。
もう一つの書きかたがこちら。
$$ \hat{H} \psi (x,t)=i \hbar \frac{\partial}{\partial t} \psi (x,t)・・・② $$
これが一般的なシュレーディンガー方程式。
結局何が違っていてどう扱っていけばよいのかということが問題でしょう。
結論は、より一般的に様々な場合に対して使えるのは②だが、①を中心に扱っていけばよいということです。なぜならば、簡単な数学で解けるのは①程度の場合だけで、②は複雑すぎて結果ありきで用いるしかないからです。シュレーディンガー方程式を扱うような場合はほとんどが①の式を扱うことになります。
シュレーディンガー方程式を解くとは
シュレーディンガー方程式を解くとはずばり、波動方程式
$$ \hat{H} \psi = E \psi $$
を満たす関数を見つけることです。しかし、運動方程式と違ってこれを自力で解くにはなかりの数学的処理が必要です。したがってこれを解くことを要求されることは1次元の箱の中の粒子の場合や井戸型ポテンシャルなど、ごくごく少数に限られます。
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