[院試・物理]4ヶ月で合格 大学院のための物理学の参考書・問題集 実際に使った物を全て紹介
2022年夏の大学院入試で合格した僕が実際に使用した問題集や参考書をまとめておきます。僕の意見だけではなく各サイトのレビューなども確認しやすいように配慮し、
左側に楽天のリンクを
右側にAmazonのリンクを
貼っておきます。
全分野
まずは、全分野を通して参考になる参考書です。
講談社 基礎物理学シリーズ
僕が勉強する中で基礎にしていたのがこの「講談社 基礎物理学シリーズ」。大学の講義での教科書となることを目指して作られています。
●「高校復習レベルからの出発」と「物理の本質的な理解」を両立!
●独習も可能な「やさしい例題展開」方式!
●第一線級のフレッシュな執筆陣! 経験と信頼の編集陣!
●講義に便利な「1章=1講義」スタイル!
を公式にウリにしています。実際この通りで、例題を用いた展開でかなり使いやすい。物理学の難しさとして、理解はできるけれども問題が解けない、ということがありますがそれを払拭する参考書です。
ここには力学のリンクを掲載しておきますが、これ以外の分野についても充実しています。各分野の参考書の箇所で、各分野の問題集のリンクを掲載しておきます。
よくわかるシリーズ
続いては「よくわかる」シリーズ。このシリーズは名前の通り「よくわかる」本です。理論の厳密性もさることながら、分かることを重視しているため、初学者にとても向いています。僕は読破するのではなく、上の「講談社基礎物理学シリーズ」などでわからないところを一通り読む、補助的な役割で使っていました。
非常に丁寧に書かれており、場合によっては誤解を恐れずに“感覚的な”部分の記述があるので、特に演習が積めていない時には重宝しました(演習が積めて“感覚的な”部分が分かるとあまり使わなくなります)。
演習大学院入試対策問題
続いては大学院入試対策問題集です。大学受験とは異なり、赤本などの問題集はありません。物理学の大学院入試対策では、サイエンス社と数理工学社が出版していますが、サイエンス社の本の方が内容が豊富に感じました。好き嫌いはあると思うので、書店などで立ち読みして使いやすい方を購入すればよいでしょう。
元々は、東大院の問題を整理し、解答集として出版したものです。したがって、東大院の入試問題が圧倒的に多いです。ただ、東大院とはいえ参考にならないような難問・奇問は多くはなく、この本は分野別に並んでいるのでとても使いやすいです。
力学(解析力学)
続いては力学。大学によって、初等力学が出題される場合と、主に解析力学しか出題されない場合とがあります。
演習詳解 力学
初等力学の参考書・問題集としてはこちらの「演習詳解 力学」がオススメです。(解析力学については、全く触れられていないわけではありませんがほぼないと言っていいでしょう)。解答・解説も丁寧に書かれています。問題数が非常に多いのと、僕の大学では解析力学がメインの出題だったため、辞書としての位置付けで使っていました。
講談社基礎物理学シリーズ 解析力学
先ほども紹介した「講談社基礎物理学シリーズ」の解析力学です。解析力学は比較的ページ数が少なく、シンプルな解説です。が、読んでみると意外と丁寧に解説されています。講談社基礎物理学シリーズの中でも「解析力学」を買ったのは比較的遅かったんですが、でも「やっぱり基礎物理学シリーズ」と再確認した1冊でした。
ゴールドスタイン「古典力学」
ゴールドスタインの「古典力学」は、大学4年生〜大学院生程度で、よく輪講に使われます。
古典力学の最高峰とも言える本です。大学院入試で使うのであれば「辞書的」な使い方がいいでしょう(この本の本当の魅力を味わうためにはしっかり通読しなくてはならないことは添えておきます)。他の本では丁寧に触れられていないことが多々ある散乱問題などにもしっかり触れています。
上下2巻に分かれています。
さらに演習書もあります。演習書は、この本の演習問題そのまま、解説を加えた形になっています。
繰り返しになりますが、本体2冊+演習書1冊という莫大な量があるため、大学院入試対策の観点でみると、通読より必要に応じて参照するのがいいでしょう。
電磁気学
続いては電磁気学。電磁気学は「ベクトルの演算に慣れること」が最大かつ最終的な目標になります。
詳解 電磁気学演習
電磁気学について、あらゆる問題を並べた問題集です。わからない問題も、この問題集を漁れば大抵出てきます。
ただ、あくまで演習書なので、基礎が理解できている上での問題集になります。この問題集は、全て解くのではなく、辞書として活用しました。
講談社基礎物理学シリーズ 電磁気学
もはやこの記事でお馴染み、講談社基礎物理学シリーズです。一連のシリーズの中で最高傑作と言っても過言ではないのが「電磁気学」の出来栄えです。
著者の政治的な思想が色濃く出ている場面もあり、このシリーズの流れを少し無視している(章立てなど)ところもありますが、それを加味してもやっぱり素晴らしくてわかりやすい。電磁気学の勉強で最もお世話になりました。
電磁気学演習
サイエンス社の電磁気学演習です。「詳解 電磁気学演習」が問題数が多いため、問題演習はこちらを中心に行いました。
全分野を網羅できるように軽い問題が掲載されています。大学院入試の直前であれば、例題を5分〜10分程度でスラスラ解きたい。それができればあとは過去問で応用する練習です。
僕はこの問題集は5周しました。問題演習の中心に据えました。
統計力学
続いては統計力学です。
講談社基礎物理学シリーズ
またか。講談社基礎物理学シリーズ。本当のこのシリーズは神です。
新物理学シリーズ 統計力学
体系的にまとめられた教科書として挙げられるのが「新物理学シリーズ 統計力学」。学習院大学の田崎先生が書かれた本です。
確率的な観点など、誤魔化しがなく書かれているので、理論系に進みたい人なら一度は読んでおきたい本です。
ここでは2冊を紹介しましたが、「熱力学」もあります。僕が受験する大学院では熱力学の出題が原則なかったので(もちろん、統計力学の前提として求められる知識くらいは必要だが)、熱力学は使っていません。
演習しよう 統計力学
「演習しよう」シリーズは、名前の通り演習を通して学ぶ参考書です。統計力学に関しては、この本を演習の中心に据えました。ただ、統計力学の基本問題については公式の証明などが中心に据えられていたので、今考え直して同じように演習の中心に据えるかと言われると微妙なところもあります。
ただ、中身自体は悪い問題集ではなく、演習問題は非常に有意義なためここにも掲載することにしました。
大学演習 熱学・統計力学
最後に言わずと知れた「大学演習 熱学・統計力学」。
この本は英訳版が出版されるほど有名な本。熱力学と統計力学の問題はほぼ全てこれで網羅できます。ただ、網羅型の問題集であり問題数が多いため、僕は辞書としてわからない問題を調べるとき、また、できなかった問題の類題をやって確実に身につけたい時などに使っていました。
量子力学
最後に量子力学です。量子力学は、大学になってから初めて本格的に扱う現代物理学の分野であるため苦手な受験生が多いです。大学入試の時のように、演習をたくさん積んでいくことをしっかり愚直にやらねばなりません。
演習しよう 量子力学
最初に紹介するのは「演習しよう 量子力学」です。網羅型に近く、大抵の問題が載っているものの必要な問題が載っており、演習の中心に据えるのにピッタリ。文句なしの問題集です。
ただ、第3刷以前は誤植が多いため、下のリンクから新品を購入するのがオススメです。
詳解 理論・応用 量子力学
量子力学において「辞書」的な役割を果たすのがこの「詳解 理論・応用 量子力学」です。分厚い本で、多くの問題が載っています。ただし、ブラケット記法などの解説は少なく、メインは波動関数の取り扱いです。ブラケット記法や昇降演算子など、大学院入試で必須の考え方は上記「演習しよう 量子力学」が最も詳しいです。
講談社 基礎物理学シリーズ
さて、この記事も最後になりました。記事を締めくくるのにふさわしいのはやはり「講談社 基礎物理学シリーズ」。今回紹介した全ての分野で取り上げました。
講談社基礎物理学シリーズらしく、基礎から丁寧に書かれています。量子力学は2冊に分かれており、「量子力学Ⅰ」で主に波動関数を、「量子力学Ⅱ」でブラケット記法の導入以降を扱います。
以上、大学院入試で僕が実際に使い、その上でオススメできる参考書・問題集を紹介してきました。問題集についての質問があればコメントくださいね(できるだけコメントも
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