高校数学Ⅰまとめノート No.4 論理・命題の否定や対偶、必要十分条件

2021年1月5日

今回は正面などで使える、「命題」等に関する事項を学んでいきます。大学受験の数学では、真偽をきっちり考えていかなくてはなりません。いわば「高校数学の要」と言ってもいい分野です。

命題と条件

まずは日本語でも使う「条件」などの言葉の数学的な定義から。

👆POINT

正しいか, 正しくないかを判定できる事柄を表す式や文を命題という。また, 命題が正しいとき, その命題は真であるといい, 正しくないとき偽であるという。

「\(x>0\)」のように, 値が不定の変数が含まれていて変数の値を決めると真か偽かが決まる式や文を, その変数についての条件という。ある変数の値について条件が真のとき、その変数の値は条件をみたすという。

ここは用語です。こういう用語ですので知っておきましょう。ここは定義の文にすべて書いてありますので、すみません、楽をさせてください。解説はなしで。

仮定と結論

👆POINT

数学の命題は「\(p\)ならば\(q\)」の形にいいかえることができる。この「ならば」は「ならばつねに」の意味で,この命題で\(p\)を仮定,\(q\)を結論という。この「\(p\)ならば\(q\)」を「\(p\Rightarrow q\)」と表す。「\(p\Rightarrow q\)」という命題が偽であることを証明するには「\(p\)をみたすが\(q\)をみたさない」というような例を1つあげればよい。このような例を反例という。

これも書いてある通りです。「〇〇ならば△△だ」って数学の命題は表現できます。

ちょっと雑談。

数学の問題は「真である」ことを証明する方が「偽である」ことを証明するより難しいといわれています。分かりますよね。真であることを示すためには何かしら証明しなくてはいけない、けど偽であることを示すためにはたった1つだけ反例を挙げればいいんです。

条件と集合

👆POINT

命題「\(p\Rightarrow q\)」において条件\(p,q\)が文字を含む命題のとき,文字が代表しているものの集合を全体集合\(U\)で表す。条件\(P\)をみたす\(U\)の要素全体の集合を\(p\)、 条件\(q\)をみたす\(U\)の要素全体の集合を\(Q\)とするとき

  • 命題「\(p\Rightarrow q\)」が真\( \Leftrightarrow\) \(P\subset Q\)
  • 命題「\(p \Leftrightarrow q\)」が真 \( \Leftrightarrow\) \(P=Q\)

この集合\(P, Q\)の包含関係を利用して命題の真偽を考えることができる。

命題を集合と対応させて考えています。ここはちょっと具体例を挙げましょうか。みんなの第一志望大学である東京大学を挙げましょう。

p:東大生である、つまりP:東大生

q:大学生である、つまりQ:大学生

命題「\(p\Rightarrow q\)」を日本語に言い換えれば「東大生ならば大学生である」ですね。その通り。

じゃあ、集合の方も見てみましょう。「東大生」は「大学生」に含まれていますよね。

というだけの話です。これで理解できましたね。

命題の否定

👆POINT

「すべての\(x\)について\(p(x)\)である」の否定は、「ある\(x\)について\( \overline{p(x)}\)である」「ある\(x\)について\(p(x)\)である」の否定は「すべての\(x\)について\( \overline{p(x)}\)である」

これも日本語をよ~く考えてみましょう。「日本国民は東京都民である」。ダメですね、これでは大阪府民や愛知県民など多くの人を忘れています。否定しましょう。

否定は「ある日本国民は、東京都民ではない」ですよね。ここでは「ある日本国民」=「東京都民ではない日本国民」になります。1人でも東京都民でない日本国民がいれば元の命題「日本国民は東京都民である」は否定されるわけですね。

こう考えれば、この否定もそんなに難しくないと思います。

必要条件と十分条件

👆POINT

命題「\(p\)ならば\(q\) である」が真のとき「\(q\)は\(p\)であるための必要条件である」といい,「\(p\)は\(q\)であるための十分条件である」という。

「\(p\Rightarrow q\)」のとき「\(q\)は\(p\)であるための必要十分条件」,「\(p\)は\(q\)であるための必要十分条件」であるという。また,このとき\(p\)と\(q\)は同値であるという。

さっきから日本語の表現能力ばっかり問われていますね。それも今回で最後です。我慢してください。ちょっといい感じの例がなくなってきたので今回はちょっとだけ手抜きの例を挙げます。

\(p\):5つ年上の彼氏と付き合っている

\(q\):彼氏と付き合っている

まずは「\(q\)は\(p\)であるための必要条件である」から。「彼氏と付き合っているとうことは、5つ年上の彼氏と付き合っていることの必要条件」ですね。

そもそも破局してしまっていたら「5つ年上の彼氏と付き合う」こともありません。彼氏と付き合っていることは必要です。

続いて十分条件。「5つ年上の彼氏と付き合っている」が本当ならば、「彼氏と付き合っている」、すなわち破局していないということも十分言えますよね。十分条件になります。

これを逆にしたらどうでしょう。

「5つ年上の彼氏と付き合っていることが、彼氏と付き合っていることの必要条件」っていったら?女性は全員5つ年上の人しか恋人にできなくなります。そんな世の中大変。5つ違いのカップルって珍しいですよね。まあ、いなくはないですけどね。5つ違いでもものすごく仲いいカップルもいます。

こう考えれば、集合との関係についても理解できます。この場合、

P:5つ年上の彼氏と付き合っている女性

Q:彼氏と付き合っている女性

となりますから、PはQに含まれていることが分かります。

逆・裏と対偶

👆POINT

\(p\Rightarrow q\)という命題に対して、

  • \(q \Rightarrow p\)を\(p \Rightarrow q\)の「逆」
  • \( \overline{p} \Rightarrow \overline{p}\)を\(p \Rightarrow q\)の「裏」
  • \( \overline{q} \Rightarrow \overline{p}\)を\(p \Rightarrow q\)の「対偶」

という。

命題の真偽で,その命題と対偶の真偽は一致する。また、元の命題とその命題の逆がともになりたつとき、それらは同値であるという。

ここは用語ですから押さえておきましょう。一番最後の「対偶」はよく使います。証明の手法の1つです。逆と裏は混同する人が多いので、ちゃんと覚えてください。