【速報】2022年度共通テスト数学 分析(数学ⅠA、数学ⅡB)

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共通テストを受験された皆さん、お疲れ様でした。

僕も勤務している予備校に提出する分析を手早に書かなければならないこともあり、問題をチェックしました。大急ぎで作成したので、不十分な面もあるかもしれませんが大手予備校に先駆けて分析を公開します!

【2022/01/16 16:35公開】

形式的な面においては昨年の傾向を踏襲し、「共通テスト試行調査とセンター試験の中間」であった。三角比などに代表される、センター試験とはやや毛色の異なる問題もあったが、似たような問題も多かった。いずれにせよ、「基礎的な数学の学力」と、「それを適切に運用する力」の2面が必要とされることはセンター試験と大きく変わってはいない。

共通テストは論述問題とは違ったやや独特な形式である。そのため、よく練られた問題を丁寧に確認していくことで段々と実戦力が身についていくものである。良質な問題演習を積んできた受験生にとっては取り組みやすいものであっただろう。

数学①(数学ⅠA)

センター試験に近いタイプの問題がやや多く見られた。第1問〔1〕「式と計算」や第2問〔2〕「データの分析」は、共通テストの試行調査よりはセンター試験に近い内容だったといえる。

今回の共通テストで注目すべき問題について見ていこう。

1つ目が第1問〔2〕の問題である。この問題は、地図の縮尺を題材にして三角比の計算をする問題であった。

問題冊子に印刷されている図があまり見たことないものであったから戸惑った受験生もいたかもしれないが、数学的な中身はあまり難しくはない。問題文に書かれた条件などを丁寧に整理すれば正答できる。ただ、センター試験ではあまり見られなかった「三角比の表」を用いる問題であった。実戦的な演習で手慣れていないとやや難しかったであろう。

2つ目が第2問〔1〕の問題である。この問題は、二次関数のグラフを用いた問題であった。

この問題はセンター試験ではあまり見慣れなかった問題であり、試行調査で出題されていた状況に近い問題である。x,yの文字で表された関数の数式で、p,qという別の文字を変数として動かした場合にどうなるかを問われていた。「定数を変数と見る」というとやや難しいかもしれないが、1,2年生のうちから自力で手を動かしてグラフを描き、二次関数の扱いに慣れていた受験生にとっては取り組みやすい問題だったであろう。

試行調査では、問題文が非常に長く、センター試験(60分)と比べて10分しか時間が長くなっていないにも関わらず問題冊子のページ数が大幅に増加することが起こっていた。センター試験時代から、数学については時間配分に苦労する受験生が多かったことから、平均点は下がるものと考えられた。

しかし昨年と今年度、特に今年度の問題を見ていると、センター試験と比べれば問題冊子のページ数はやや増であるものの、大幅増とはなっていない。今後の受験生も制限時間に苦しめられることに変わりはないものの、試行調査ほどまでに分量が多すぎる試験は当面はないと考えて良いかもしれない。基礎的な考え方を素早く適切に運用する力を付けていくことで高得点が望めるだろう。

数学②(数学ⅡB)

数学①とはやや毛色が異なり、誘導に従って複数の考え方を通して答えを導く問題が多かった。そういった背景もあり、問題設定自体はセンター試験と比べて大幅に変化はないものの、穴埋めとなる部分の答えを導きながら正答まで辿り着くにはやや時間を要するであろう問題が散見された。なお、去年の問題順が踏襲され、第3問に「統計と推測」が配置されていた。

第1問〔1〕では、円と直線を題材として共有点について考察する問題が出題された。「太郎さん」と「花子さん」の2通りの考え方が提示されたが、問題文を丁寧に読み解いていけばやや平易な考え方であり、本番の緊張した状況の中で落ち着いて対処できたか否かがカギとなっただろう。第2問〔2〕も似たような傾向であり、問題文こそは長くて大変そうに見えるかもしれないが、実際に手を動かしてみると平易な問題でありすぐに解答できることがわかる。

第2問はセンター試験時代から変わらず微分法と積分法を中心とした問題であった。ただし、計算量も今までのセンター試験や共通テストと比べて格段多くなったわけではない。しかし指数を始めとした計算がやや複雑であり、本番の緊張状態では選択肢と合わずに戸惑った受験生がいたことは想像に難しくない。時間制限の中で解く練習をしっかり積んでいた受験生は有利だったであろう。

第4問は共通テストの試行調査に近いタイプの数列に関する問題であった。何より、ほぼ数式を使わない問題設定の説明文だけに1ページが割かれていたことには驚いた受験生も多かっただろう。ただその分、問題の数学的内容はあまり難しくなく、連立漸化式を解かねばならないものの漸化式自体は非常に解きやすい漸化式であった。

第5問はベクトルの問題で、本年度は平面ベクトルが出題された。前半はベクトルの基本的な性質を問う問題で、落ち着いて解き進めたいところである。最後に太郎さんと花子さんの会話文が出てくるが、これは2人の解答方針両方で解答を求めるものではなく、花子さんの解答方針では計算が大変そうだから太郎さんの解答方針を活用するものであった。これは普段から自分で手を動かして計算をしていく中で「やっぱりこっちの考え方が楽そうだから、こっちでやろう」という考え方が身についてくるものである。基礎的な理解と同時に、実際に手を動かして練習することがより強く求められたといえよう。

数学ⅡBに関しては、「太郎さんと花子さん」の2人の考え方が出てくる問題が多く見られた。ただただ解答を見て理解するのではなく、自分で手を動かして試行錯誤することを繰り返すことが、より一層求められていたといえよう。

数学

Posted by dolphin